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レイアのOVA連載分に追記しました。
と・に・か・く
放置してるのをなんとか〜(アビスも逆裁も他も)と思いますが、気になるばかりで現実が進みません・汗

コメントやメールのお返事も滞っております。申し訳ありません。



 ランティスからの呼出を喰らった場所は、ふわふわな想い出が確固たる現実であった場所だった。
 それでも、同じベンチに腰掛けていると、風の甘い面影がランティスの仏頂面で真っ黒に塗り潰されるのではないか危惧したくなる。薄暗い公園で、愛想も糞もない横顔を見ていると、風とのひとときは遠い彼方の出来事のように感じられた。
 此処で沈黙していればいるほどに、その恐怖は強まった。

「…えと、ザガートさんは浮気でもしたのか?」

 フェリオは恐怖をうち払うべく、結婚をぶち壊す(世間での)最大の要因を口にした。けれど、ランティスは首を横に向けたまま、顔を凝視している。
「な、なんだよ。」
「兄さん…。」
 ポツリと呟く言葉には目を剥いた。
 だから、その行事自体が危うくなってんだろ!!!と叫びたくなったが、絶対にこちらの異議を受け付けないだろう男に、辛うじて言葉を飲み込む。
「…ザガート、義兄さんは、浮気をしたのか?」
 口にしてみると、妙に生々しくて気分が凹む。ああ、ふわふわの夢が一気にどろどろになった気がした。俺は絶対浮気なんかするもんかと、心に誓う。
「浮気はしていないが、信頼を裏切る行為をしたそうだ。」
 ランティスの具体性に欠ける説明からは、事実が見えて来ない。
「お前はそれで納得したのか?」
 問い掛けるとふるりと首を振る。しかし、要領を得ないのだとランティスは付け加えた。
「恋愛事はよくわからない。お前に任せる。」

 ちょっと待て。大人が雁首揃えて、一番年下に任せると来たか!?
そもそも、俺よりも遥にいい男で(畜生)相手に不自由なさそうな奴が、恋愛事がわからないとはどういう事だ?
 それって、まさか女がって意味じゃ…。
 フェリオは口に出しはしなかったけれど、ハッと青褪めた事で気付いたのだろう。目が探るように眇められ、薄く笑った表情が怖い。
「無用な想像だな。」
「……二度と言いません。」
 言ってないけど、迫力に負けてつい謝ってしまった。
「欲しいと思った女はいない。向こうから近付いてきた奴は、大概こんなはずじゃないと言って逃げた。」
 だろうな…。思ってしまって、フェリオは口を抑える。
喋ってない。けれど、ランティスにはわかったようだった。
「お前は本当に正直だな。」
 呆れたようにランティスに言われ、赤面する。
 感情がすぐ表面に出てきてしまう性格なのは自覚している。それが原因で困った事だって何度もあった。
 直さなければとは思っている。結婚するだろうエメロードの為にも、もっと大人にならなければいけないとわかってる。変わらなければならない、そう知っている。
 でも…。
 ふいに浮かんだのが、部活の事だったなんて弱っちいにも程がある。
 
「…随分と面白い。そのままでいろ。」

 けれど、咎める訳でもなくランティスはそう告げて笑った。
玩具扱いかとも思ったけれど、追求するのも莫迦らしい。コイツが良いっていったら、揶揄や当て擦りなんてなくて、ままの意味なんだろう。
「アンタ、夕食は?」
 聞いてやるとまだと答える。エメロードは泣き疲れて、自室(と言っても2DKアパートだけど)に籠もってしまったので、食材が一人分余っている。餌付けしてみようかと思ったのは、ほんの気まぐれだった。

「じゃあ、飯喰いに来ないか?」

 フェリオの誘い文句に、ランティスはあっさりと頷いた。
 

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