[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
近日に、新しいフェ風が加わったので、普段様々なアレを並べている棚を久々に眺めてました。
アンソロが懐かしくて手にとって中をパラパラ…うはは。
自分のものは勿論斜め読みですが、本当に懐かしいなぁ…と。うん、とても楽しかった事を思い出しましたよ。
多分ね、これに参加させて頂かなかったら、オフ会とか脚を運ぼうって思わなかっただろうなぁ。
素敵な出会いに感謝したくなりました。
いつどこで誰に出会う事があるかもしれませんが、どうぞよろしくお願いしますね。
そうそう、呟きさんでSPの話が出ていたのを拝見して、そろそろ革命編出てるなぁと…(3部作らしかったのは驚きでしたが)見たいですね。あのふたりの遣り取りが見たいなぁ。
TVシリーズの感覚も好きなので、映画の壮大さについていってない部分もありますけど岡田さん見たい。
今日は帰りにレンタル寄ってみようかな…。
見たい映画は多々なれど、映画館に足を運べない自分がモドカシイです。
あ~それと、宮部さんのドラマ見ました。あれは、あれで2時間に纏まっていたとは思いますが、原作ファンからすると悲しいかもしれないなぁと、ちょこっと感想でした(笑
原作付のドラマは、難しいのだね~。(るろ剣とかどうなんでしょうね…。
そして続きに苦労性です。まだ終わらない…。
大型の洋犬を拾った気がした。
ランティスを家に上げれば、部屋が酷く狭くなったように思えた。
こいつ(等)日本家屋に適したサイズじゃない。鴨居を潜る様子は物珍しく、ついつい視線が向かってしまう。 あ、天井も低いなぁ。
器用に潜っている所を見れば、こういう事態は慣れっこなんだろう。
一体あの兄弟がどんな部屋に住んでいるのだろかと、首を捻る。ベッドだって何だって、スタンダードじゃ絶対無理だ。見る機会がこの先訪れるかどうかわからないが、興味が湧いた。
だって、玄関に置いてあるあいつの革靴、尋常な大きさじゃないぞ。絶対特注だ。
そうして食事が出来るまで待ってろと言うと、大人しく椅子に座ってじっとしている。吼えないし、本気で躾の行き届いた犬みたいだ。
(待て)が出来るなら、(お手)はどうだろう…。
奴の前に料理を並べながら、そんな事を考えていた。
ヨシと言ってやれば、両手を合わせてる。(いただきます)こそ言わないけれど、箸使いも含め、本気で躾の良い犬に見えてきて、フェリオの箸が思わず止まった。
けれど、躾の良い犬に見えたのは此処までで、食の進まないフェリオに気付くと(何だ勿体ないな)と呟いて、ガツガツと食べ始める。
コイツ、単に腹が減って大人しくなってただけだ!と気が付いた頃には、皿の料理は跡形もなく消え去っていた。
一生の不覚。一人分ずつ取り分けるべきだった!!!
相手が躾が行き届いた大型犬ではなく、冬眠を前にした羆だったのだと気付いたところで後の祭り。静かに箸を置く様子が白々しい。
文句のひとつでも言ってやるつもりで立ち上がったところで、差し向かいの扉が開いた。
二つ並んだ扉は、姉弟のそれぞれの部屋として使っている。其処から顔を出した姉は指先で、目の端を擦りながら気怠い動作で、いままでフェリオが座っていた席に着いた。
クスンと鼻を鳴らして、エメロードが顔を上げれば、泣き濡れて赤い瞳が痛々しい。
俺は、姉のこういう姿に弱いのだ。
「いっぱい泣いたら、お腹すいちゃった。」
正面にランティスが座っているのを気にする事なく、そう告げる。
「良い匂いしてくるから、目が覚めちゃったの。」
「姉貴はいらないかと思って、其奴に喰わせちまったぞ。」
フェリオの言葉に初めてランティスがいる事に気付いた様で、あらと声を漏らした。それでも、気にした様子は無い。
「普通には食べられないからいいわ。でも、甘いものが食べたいの。」
チラリと上目使いのエメロードは、少しだけ元気になったようでホッとする。何だかんだ言ったところで心配だったのだ。二人きりの家族だ、当然だろうとフェリオは思う。
だから安堵した分だけ、軽口になった。
「……こんな時間に喰ったら太るぞ。」
溜息と一緒に告げてやると、意地悪と返ってきた。
「甘い飲み物入れてやるから、それで我慢しろ。」
「違うの、アレが食べたいの。」
言い出したのは、コンビニに売ってる季節限定のデザート名だ。確かチョコと生クリームがフルーツにたっぷりかかった超高カロリーっぽいお菓子。
「太るぞ。」
「いいもん。もうドレスなんか着ないんだから。」
(ふぅんだ)と唇を尖らす様子は、駄々っ子そのもので、フェリオは大きく溜息をついた。
半ば諦めが入りかけたフェリオに、更なる声が追い打ちを掛ける。
「俺は限定の珈琲だ。」
はぁ?誰がお前の注文なんぞ、聞いとるか!?
当然の様な顔でえらそうに告げるランティスに、頭痛がした。どうしてそんなに自信満々なんだ、お前は。
「あ、私も欲しい。美味しいのよね、あそこの珈琲。
フェリオも一緒飲みましょうよ。三人分買って来て。そうそう、貴方の好きなモノも何か買って来てくれていいから。」
既に買う前提で進む話しに目眩がした。当然のように俺が行くことになっている。ああ、そうですかとツッコミを入れる気力すら萎えた。諦めて、上着と財布を手にして玄関へ向かう。
それでも黙っているのも癪に障るから、ドアノブに手を掛けたまま振り返った。
「後で金は出せよ、エメロードも。あんたもだ!」
指を差すと露骨に嫌な顔をする。客だから奢りが当たり前とか、まさか思っていないよな!?
「…仕方無いな。」
仕方無くない…!!!!!
会話することにすら疲労を感じて、フェリオはトボトボと玄関を後にした。
◆ ◆ ◆
パタンと力無く閉じたドアを見送って、ランティスはエメロードを振り返る。
バイバイと手を振る彼女は、笑っていた。
「いいのか、弟をこき使って。」
「フェリオは優しいの。」
(大丈夫)とエメロードは微笑む。そして(美味しいでしょう?)とランティスに問い掛けた。
置かれた皿を見遣れば、返事などわかったようなものだったけれど、エメロードの問い掛けに、ランティスは敢えて頷いた。
うふふと笑い、でしょうとエメロードは続けた。
「あのね、私達の両親が亡くなった時、私は大学受験を控えてたの。
でも、あの子と二人だけになっちゃったし、何より精神的に不安定で勉強なんて全然駄目だった。ただ毎日机に向かってるだけだったわ。」
進学は諦めようとも考えていた、とエメロードは言葉を続ける。
「そしたらある夜に、フェリオが夜食を作ってくれたの。」
机に膝をついた両手に、ちょこんと顎を乗せエメロードは瞼を落とす。ゆるりと弧を描く唇は、柔らかな微笑みを乗せていた。
「母が私に作ってくれてたのを見て覚えていたのね。
でも、本当に小さい時だったから持ってきたホットケーキは真っ黒でそれはそれは酷い味だったはずなんだけど、私泣きながら食べたから、ショッパイ味しかしなかったわ。
だってそうでしょう?
私の方が幼いあの子を気遣ってあげなくちゃいけないのに、情けないったらなかった。頑張らなくちゃって思ったわ。」
「そして、大学でザガートに逢ったのか。」
「頑張った甲斐、はあったと思うの。でもフェリオのお陰ね。」
瞳を細めるエメロードに、ランティスも表情を緩めた。
(だから、自慢の弟なのよ。)
「料理だって、今では私より上手よ。お弁当はフェリオが作っているんですもの。」
しかし彼女の話に、ランティスは一瞬目を見開いた。その沈黙を待っていたように彼の携帯が着信を告げる。
チラリと画面を眺めてから、着信ボタンを押す。
「ああ、ザガート。今、飯を食っていたところだ。迎えに来てくれ。」