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先週の金曜日から、原因不明の病に陥り顔がアンパンマンになるわ、熱は出るわで散々な日々を過ごしております。
それでも一日も会社を休んでいないんだよ~、(爆)
…という訳で、流石に更新はままならず、少しだけ書いているものは後日まとめて上げさせて頂きます。が、もうしばらくはのんびりペースでお願いします。
拍手やメールのお返事も遅くなってすみません。今週末には体調も戻ると思いますのでその時に書かせて頂きます。ぺこり
そして、管理不在にも係らず、拍手をありがとうございました。
普段より少しばかり多いのは、レイアの再放送のせいでしょうか??
少しでも楽しんで頂けたのなら何よりでした。また寄ってやってくださいませ。
吹き抜けとなっている食堂へと降りる階段。途中に設けられたエントランスには、風の身長の2倍はある縦長窓が設えられている。
豪華な装飾が施されている分重く、滅多なことで開閉はしない。
けれど、後をついてきたフェリオが外を見つめて固まった。
「どうなさいまして?」
声を掛けて覗き込めば、シッと唇を尖らせて風の腕を掴み窓枠へと姿を落とす。
風はそのまま彼の視線の先を追った。屋敷の周りを囲む庭園よりも先、門の影に隠れるように人影がこちらを伺っているのが見える。
勿論、風の見知った顔ではない。
庭園は高い塀に囲まれている上にセキュリティは万全なので、玄関へと続く門を潜らない限り入ることは出来ない。門には呼び鈴が設えてあるので、普通の客ならば鳴らすはずだろう。
「…クレフだ。どうして、此処が…。」
フェリオの呟きと舌打ちは、彼の心情そのものだろう。
薄紫の髪。身長はさほど高い方ではないようだが、遠目でもわかる綺麗な顔立ちをしてる。ブルーグレイのロングコートを着込んでいても、随分と細身のようだ。
「どなたですの?」
「…裏切り者さ…。」
「姫、という方に謀反なさったということですか?
では、フェリオさんを追っていらっしゃたという事ですわね。私のタクシーをつけていらっしゃたのかも知れません。」
風の余りにも適切な切り返しに、フェリオは返事に窮する。けれど、風は気にした様子もなく、それどころか酷く嬉しそうにニコリと微笑んだ。
「では、見つかってしまってはいけませんわ。私まだフェリオさんが空からいらっしゃった目的も伺ってはおりませんから、せめてそこまでの設定は伺いたいですし…。あ、でも貴方がお使いになられないと言うことは、クレフさんも魔法をお使いになる事は出来ないのでしょうか?」
「アイツは力の強い魔導師だからな、わからない。」
「魔導師。RPGを彷彿とさせる響きですわ。それでは、剣士とか…「おい、フウ。」」
話し続ける風の声を留めて、フェリオは苛ついた表情で睨む。
「お前、楽しんでるだろう?」
「あら心外ですわ。私、一応フェリオさんの事も考えて差し上げておりますのよ?」
一応!?
声にならない叫びがフェリオの唇を象っても、風の笑みは崩れない。
神妙に眉を顰めて、声を沈めた。
殊更重大な事を告げているような彼女の様子に、フェリオはついつい耳を貸してしまう。
「居所がわかってしまった以上、此処に留まるのはよくありませんわ。
フェリオさんがお探しになっていらっしゃる物の情報が収集出来る場所へ移動すべきだと思います。場所に関しては心当たりがございますわ。お任せください。
ここまで異論はございませんわね?」
なんで捜し物をしているのがわかったのかと疑問符を浮かべつつ頷くフェリオは、既にフウの話術にはまっている。
「ですので、安全かつ迅速に屋敷を出る必要がありますわ。そこで私は…。」
こそこそ…耳打ちされた内容にフェリオが仰天するのと、風がにっこりと微笑むのは同時だった。
「私、とても良い考えだと思いますわ。」
「待て、だがそれは…!」
顔色を青くして首をぶんぶん横に振るフェリオに、お待ちなさいと、纏を掴み風は眼鏡をキラリと光らせる。
「こんなヒラヒラ、ピラピラした格好では目立って仕方ありませんわ。クレフさんの目の前に(見つけてください)と看板を下げて歩いているようなものですわ。
さあ、私にお任せ下さい。それとも、他に何か良い考えがありますか?」
人差し指を顔面に突き立てられ、フェリオは頬をカリカリと掻きつつ思案してはみたものの、何も浮かんでは来なかった。
だからと言って風の言いなりになるのは御免だと、ああだこうだと告げてはみるが彼女の理論を覆すには到底及ばない。
「ちょ、俺の話を聞け!!!……すいません、聞いてください!!」
お願いしますの語尾さえも置き去りに、ふたりの姿は扉の奥へと消えて行った。