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2025/04
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春の嵐と書けば聞こえも良いような気がしますが、結構迷惑な感じの荒れ模様です。
たまの休みなんだから、あっさり天気にしておくれ・泣

仕事に町内行事にテレビの世界に入った挙句に、試験が来月とか多忙を絵に描いたような生活を堪能中です。
学生時代もノリで勉強していましたが、今回もノリで頑張ってます。
きっちり単語を把握しなければならないのに、興味のある方向へ向かってしまう不覚な性格。前述試験で惨憺たる成績を収めてしまったので、取り敢えず心を入れ替えて頑張ります。
忙しいけど、きっと振り返れば充実していたんだな…という思い出に…頼む変わってくれ!!!

放置も甚だしいサイトの方も、整理しようと画策しております。
試験が5月末なので、その前後からぼちぼちと…。
入り口もPCと携帯に分かれてるんですが、統一して管理が楽な方向へ向かいたいです。
もういっこ増やしたい気持ちもあるので…。
そうそう、この間玉造というこちらの温泉街へ行ったのですが、桜が満開過ぎくらいな感じて、川面を流れる花びらに情緒を感じました。
暖かくなってきて、文字通り花開く時期。
私もちょっと便乗したいところです。


では続きに、あれです。

また追記しますが途中まで…今度はランティス視点から

日溜まりが殺す影

 不穏とは、白い布に出来た染みのようだ。
うっすらと小さくついた汚れは、気付くと布を染めている。まま、変わらぬ白であるはずだと感じている心を裏切り、大きな異変が目の前につきつけられるのだ。

 ランティスは立ち止まった廊下から、外を眺める。
穏やかな日差しが降り注ぐ庭園は、その光の為にか全てが白いベールに包まれているように感じた。そよぐ風は訪れる者達の邪魔にならない程度に、新しい空気を運んでいる。
 白々しいほど、穏やかな日常。けれど、セフィーロ城は明らかな異変に包まれていた。
 日に日に弱っていく導師の様子は普通ではなかったが、最初は周囲の者達もランティスも、また無茶をなさっていらっしゃるのだろうと眉を顰める程度だった。
 それでもこの城で重責を担っているクレフに対し、気遣う言葉は送っていた。
返ってくる答えも常なるもの『お前達は心配のしすぎなのだ、私はそんなに頼りなくみえるのか』という代物だった。
 機嫌を害したような表情で告げてくる相手に、皆一様に苦笑いをしてい矢先、彼は倒れ、病の床についた。
 元々、病に魔法は効かないが、こんな短期間に長くベッドから離れる事も出来ない衰弱ぶりは異常の一言に尽きる。それでいて、導師からの直接的は相談や話が何もなかった事にランティスは舌打ちをした。
 彼は(いやきっと王子もだったろうが)何かを隠している。

 クレフが執務中に意識を喪失したのは、王子が城から姿を消して数日、その報告を受けていた時だった。
 元々王子は記憶もなく、長い間城を離れて暮らしていた人間だ。
 セフィーロが再構築されて以来、それなりに真面目に公務を遂行していたが、気まぐれな部分も見受けられる。だから、姿が見えなくても(執務に飽きたのだ、そのうち戻ってくるだろう)と大半の術師達は考えていたようだった。
 けれど予想を裏切り、彼は未だに姿を消している。自らの意志で出ていった証拠に彼が旅暮らしをしていた時の備品がすべてなくなっていた。
 無責任も甚だしいと導師に訴えた術師は、ハッと息を飲んだ直後に蝋のように青白い顔色になった導師を見る事となった。
「…そう、か、私がもっと早く…。」
 倒れる寸でに零れた言葉は、側にいた術師から聞いた。

 何かに気づき、導師は後悔したのだ。もっと早く、気が付いていれば…。
導師は一体何を見落としていたと言うのだろうか?

 考え事をしながら外を見るのは、もはやランティスの習慣になっていた。
そうして銅像のように動かないランティスに、大きな声を上げ駆け寄ってくる術師がいた。
「ランティ、ランティス殿!」

 慌てふためき過ぎた男は、衣服に脚を絡ませランティスの服に縋り付く。ゼイゼイと息も絶え絶えな様子にランティスは眉を顰めた。
「…導師が、部屋にいらっしゃいません!!」
 顔面蒼白で汗を流し続ける男は、導師の付き添いをしていた人間で水差しを替えに部屋を離れた僅かな時間に導師がいなくなったのだと、繰り返し繰り返しランティスに訴えて来た。
 普段でも心配はする状況だったが、体調も悪く、王子が失踪した上での行方不明では不安感も半端酷いものなのだろう。けれど、そこまで導師に負担を掛け、頼っていく事に対しては、ランティスは心良くは思っていなかった。
 一人一人が支えるセフィーロになったのだ。他人を宛にするだけでは、柱制度が生きているようなものだろう。
 剣呑な目つきになったランティスに、術師が怯えた表情で沈黙する。
「…。」
 ギュッと纏いをもったまま放そうとしない相手に、取り敢えず文句を言うつもりで口を開いた刹那、クレフの声が脳裏に響いた。

『私はここだ。』

 細いがしっかりとした声がランティスに届く。コクリと頷き、ランティスは術師に向き合うと導師の居場所を告げた。
「俺が伺う。お前は部屋へ戻れ。」
 指示を残し、ランティスは踵を返した。導師が呼び掛けてきた場所-王子が使っていた部屋へ向かって。

 ◆ ◆ ◆

 今は住む人がいない部屋で、クレフは杖を手に佇んでいた。
寝着のままの後ろ姿は、小さな背中をより小さく見せている。足音が吸い込まれる絨毯を横切り、彼の隣りに並んだ。

「これを見つけた。」

 細い指先には、洋紙の切れ端が挟まれている。彼の意図を読めずに受け取った紙から、ランティスは微かな気配を感じた。
「…王子の思念が残っている…。」
 コクリと頷き、クレフはランティスを見上げた。
「彼はただ失踪したのではなく、皆に手紙を置いて出たのだろう。けれど、それすら疎ましいと彼女は思ったようだな。」

 …彼女?

 腑に落ちないクレフの言葉は、ランティスの眉間に大きな皺を落とす。
フェリオは魔法騎士の一人と恋仲であった事は城内の誰もが知る事実だったが、長く彼女等はセフィーロに降りたってはいない。
 それでも、彼は異世界の少女だけを想っている。…それは、ただランティスがそう思い込んでいたというのか?
 庭園で恋しいのだと告げた彼の表情は、固められた嘘なのか。
親友であったイーグルを失ってしまい、余り心を明かす相手のいないランティスにとって、同じ異世界の少女を想い慕っているフェリオとは何処か分かり合える部分があるように感じていたのは錯覚だったのか。
 彼は実らぬ恋など捨てて、新たな快楽に身を投じたとでもいいのだろうか。
 不愉快というには薄い感情だったが、納得のいかない己にただ唇と顔を歪めた。

 少女のは眉を歪め、涙で睫毛を濡らしながらそれでも微笑んでいた。
抱き締めれば折れてしまいそうな細い肢体の中にあった心は強く、いまだにランティスの心を捕らえて離さない。
 邪な欲望をも受け入れて、ランティスはヒカルを愛していると断言出来た。
彼女以外の心も体も、欲しいと願った事などない。肉体が朽ち果ててさえ、心はヒカルを待ち続けるだろう。

「ランティス…。」
 思考を遮るようにクレフの静かな声が名を呼んだ。
「今夜、皆が寝静まった後で私の私室へ来て欲しい。お前に見せたいものがある。」
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